2013年7月23日火曜日

「みんな一緒」のゼロ年代から 「私はわたし」のテン年代へ

「みんな一緒」のゼロ年代から
「私はわたし」のテン年代へ
時代背景や若者文化を考察する際、10年ごとに時代を区切り
「●●年代」という呼び名がつけられています。
2000年から2010年までは「ゼロ年代」。
この時代は、ネットの掲示板で盛り上がった話題がニュースとして
話題に上ったり、通信ゲームや携帯ゲーム、Twitterなど仮想空間を
介した交流が浸透していった時代。

高度情報化社会の発展により、企業は飛び交う情報をベースに
マーケティングをし、市場を分析するようになっていきました。
そんなIT消費時代の到来により、ファッション市場が保守化の道へ。

では、それまでのファッション市場はどうであったか?
主に、主導権はブランド側にありました。
各ブランドが個性を打ち出し、流行を発信。
消費者はそれぞれの好みのブランドを選ぶことで
自分の個性を演出してきました。

しかし、ゼロ年代に入ってから、
消費者はファッションに対して保守的になる傾向に。
その理由のひとつは、情報化社会の中で
「売れているかどうか」「メジャーであるかどうか」
「ランキング上位であるかどうか」などの
商品のデータが手にはいるがゆえに、商品自体の魅力よりも
マジョリティーであることの安心感を選ぶようになったからかもしれません。

そしてデフレによりファストファッションの台頭。
「みんなが来ている平均値で安い服」の安心感を
人々が選ぶようになったとも言えるでしょう。

そんな消費者の意識を分析した各ブランドの商品開発も保守的になっていき、
その堂々巡りがファッション市場に、ある種の停滞感や閉塞感を
作り出してしまったようです、

そんななか、時代は新しい価値観を持つ若者たちの「テン年代」へ。
1990年代以降に生まれた世代が消費生活や文化が時代の中心となった今、
彼らの価値観は「保守的」ではなく、
よりクリエイティブな感覚を重視しているようです。

現に私が教える大学の学生たちのファッションは個性的。
ファストファッションと古着のコーディネートなど
自由な感性でファッションを楽しんでいるように見えます。
そんな消費者発信の個性的なファッションに、企業も注目しています。

英国の「ヴァージン・アトランティック航空」は、
今年の7月からヴィヴィアン・ウエストウッドがデザインした制服の
試験的な導入をスタートし、来年には本格的に採用する予定だとか。
個性的でファッショナブルな制服の採用は
「テン年代」の感性を背景としたマーケティング戦略なのかもしれません。

これからの「テン時代」のトレンド予測には、市場の分析力ではなく、

個性的な創造力を備えた編集力が問われるのではないでしょうか。


0 件のコメント:

コメントを投稿