●ミニマルな生き方から見えてくるもの
「物が捨てられない」「衝動買いがやめられない」という問題を解決するには、どうしたらいいかについて少し考えてみましょう。物が捨てられない理由のひとつとして「もったいない」精神の功罪であるという解説はしました。ただ、もう少し掘り下げて考えてみると、問題はその人自身の生き方と関わっていることがあります。
じぶんは物が捨てられない・片づけられないと考えている人は、以下の項目について考えてみてください。
・ 人から頼みごとをされると断れない。
・ 仕事を優先して、家族や友人とのプライベートな約束を延期してもらうことがある。
・ じぶんは忙しすぎると思うが現状を変える方法がわからない。
・ 人から嫌われるのが怖くて言いなりになってしまう。
どれかに当てはまった人は、ミニマルライフを送る前にひとつの壁を乗り越える必要があるかもしれません。
シリコンバレーのコンサルティング会社「THIS
Inc.」のCEOであるグレッグ・マキューン氏の著書「エッセンシャル思考 –最少の時間で成果を最大にする−」(かんき出版)には、次ような記述があります。
人生も仕事も、クローゼットと同じだ。必要なものと不要なものを区別できなければ、どうでもいいことで埋めつくされてしまう。捨てるしくみをつくらないかぎり、やえることは際限なく積み上がっていくばかりだ。(出典:「エッセンシャル思考 –最少の時間で成果を最大にする−」グレッグ・マキューン著(かんき出版))
マキューン氏は「古い洋服を捨てるのは勇気がいることであり、同じように仕事や人との関わりにおいて場合に応じてノーと言うことは難しい。うまく捨てる(ノーと言える)技術を会得すれば人生はもっとすばらしいものになる」と主張しています。
つまり、他からのプレッシャーに押し流されているとじぶん自身が見えなくなってしまう。そしてじぶんで選び取る力を失ってしまうというわけです。「なぜ、毎日こんなに忙しいのか?」と不満ばかりが募り、なんの達成感も得られていないのであれば、それは思考停止に陥っているかもしれない。逆を言えば、これら心の問題を改善することができればクローゼットの整理もスムーズに行えるようになるはずです。
マキューン氏は著書のなかに記している方法論のいくつかを紹介すると、
・持っていないと考えてみる。
服であれば「これを持っていない場合、いくら出して買おうと思うか?」。
仕事であれば「もしまだこのプロジェクトに参加していなかったら、参加するためにどん
な犠牲を払えるか?」と考えてみる。
・失敗を認める。
失敗を認めて、進んで損切りをする。必要なときは他人の助けを借りる。失敗は成長への
ひとつのステップにすぎないと考えれば恥ずかしさも克服できる。
・良くするためには何かをつけ加えるのではなく、何かを削ることだと考える。
・答えを出すまえに少し時間を置く。
などがあります。
どれもカンタンに実践できそうです。つまり、私たちは知らず知らずのうちに本質的なことを見失っている。いろいろなしがらみや固定観念にがんじがらめになり、閉塞感を感じているのです。「これを持っていたら……」「これをやっていたら……」と、ありとあらゆる「たら・れば」を考えるあまり、「あれもこれも」と持ちきれないほどの仕事であったり、服を抱えてしまっている。選択する意思の力を失ってしまっているのではないでしょうか。
何か感じるところがあった人は、クローゼットの整理をはじめてみてください。クローゼットがすっきりシンプルに片づいたとき、心のもやもやも少し晴れてくるかもしれません。
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