2015年8月19日水曜日

色のパワーとビジネスの関係

色が人間にさまざまな影響力を持つことは、お分かりいただけたと思います。色のことをよく知ればじぶんのモチベーションを上げるツールにもなるし、他者に対する印象を良くすることも可能な訳です。第一段階としてじぶんの色=パーソナルカラ―をご紹介していきます。まずはパーソナルカラーの歴史について、ほんのさわりだけひも解いておきましょう。
 色について一定の理論があることを発見したのはドイツの美術学者・画家のヨハネス・イッテン(1888~1967年)と言われています。話の発端はデザイン学校で講師をしていたイッテンが、生徒たちにリンゴの絵を書かせたときに始まります。生徒たちの絵の色使いが描いた本人の髪・瞳・肌の色に調和する色合いになっていることをイッテンが発見。その後、彼の理論をもとに、四季のイメージで色を4つのグループに分けた「フォーシーズンズカラーシステム」に体系づけられ、パーソナルカラーの診断基準ができあがりました。四季のイメージを用いたのは「誰でもイメージしやすい」といった理由からだったとか。
 人の印象を左右する色の効用に、まっさきに飛びついたのがアメリカの政治家たち。1960年代、政治家たちはカラーコンサルタントをブレーンに加え、選挙のときのイメージ戦略に乗り出しました。
 パーソナルカラーを戦略的に利用して成功したといわれているのが、アメリカの歴代大統領でも人気が高いジョン・F・ケネディ氏。1959年の大統領選挙でケネディとニクソンがテレビで討論会をしたときのことです。その際、ケネディはメイクアップしてテレビ出演に臨んだとか。ちなみにテレビは当時、カラ―ではなくモノクロではありましたが、ファウンデーションを塗ったケネディの顔色は日焼けをした精悍な若者という風にテレビに映ったそうです。また、ケネディは濃い色(一説には濃紺)のスーツを、ニクソンは淡い色(一説には茶色)のスーツを着たため、ケネディの存在感が際立ったとも言われています。ファッションコンサルタントを始めとする専門家たちと良い印象づくりを研究していたケネディは、いち早くイメージ戦略を取入れることで、みごと大統領の座を射止めたわけです。以来、アメリカの大統領選において候補者はファッションコンサルタントを雇うことが通例となったそうです。また、アメリカでは真っ赤なネクタイを「パワータイ」とし、ここ一番!というシーンで使うことが慣例的だそうで、近年のアメリカ大統領選でも大事な演説時に赤いネクタイをする候補者は多いと言われています。
 次に日本におけるパーソナルカラーの歩みをかんたんにご紹介します。パーソナルカラーを使ったカラ―・コーディネートがビジネスとして考えられるようになったのは、1980年代に入ってから。当時、日本人の特徴を体系的に分類することの難しさ、色に対するニーズの少なさに加えて一極集中のブランドブームなどもあり、すぐには受けいれられませんでした。

 1990年代にはファッションも多種多様になり、いわゆる「私ファッション」の時代が到来。カラ―・コーディネートが徐々に注目されるようになったようです。それら試行錯誤を経て、日本人に合わせた「フォーシーズンズカラーシステム」が登場。現在ではファッションやメイクアップだけでなく、企業のCI活動や人材教育の場、インテリアなどの生活空間から街づくりにいたるまで、色が人の心理にもたらす効果について重要視されています。

2015年8月12日水曜日

第7章 色が変えるココロ、色で変わるコミュニケーション

●色を操れば、友達と1歩差がつく!


 このブログを読んで頂いている方の多くは、おしゃれをするのが好きな人ではないかと思います。とくに女性に限って言ってしまえばおしゃれをするのが嫌いな人は、ほぼいないのでは。ただ、おしゃれのことを考えたり、実際に服をコーディネートするのが得意な人と苦手な人に分かれることはあるでしょう。「今日の服、似合っているね」「いつもおしゃれですね」などと他人から言われて気分を害する人はいないはずです。他人がじぶんの服装を肯定的に捉えている、もしくは羨望のまなざしで見ていると分かったとき、おおむね、人はとても心地よい気分になります。そう、これこそ人におしゃれをさせる重要な動機なのです。
 ここで、脳のある働きについて見てみます。脳科学によると、脳には「報酬系」と呼ばれる神経伝達回路があるそうです。その仕組みはざっくり言うと、「報酬」と呼ばれる種々の刺激を受けることで快感が得られるというもの。「報酬」の種類は一般的に「感覚的報酬」「物理的報酬」「社会的報酬」「知性的報酬」などに分けられます。

  「感覚的報酬」は人間の三大欲望(食欲・睡眠欲・性欲)などに伴う快感のこと。もともと人間に備わっている生理学的な快感と言えるでしょう。
  「物理的報酬」は、お金や物品などを手に入れたことによる快感。
  「社会的報酬」は社会生活において発生する快感。たとえば親や先生に褒められる・友人に認められる・会社で昇進するなど、他者との関わりの中で生まれる快感のこと。
  「知性的報酬」は読書や勉強、いまならネットサーフィンなどで新しいことを知ったときなどに生じる知的好奇心が満たされたときの快感。
 
 以上の中でもとくに、おしゃれのモチベーションを上げるのが「社会的報酬」と言えるでしょう。女性に話を特化するならば「物理的報酬」(=ブランド品や最先端トレンドアイテムなど他人が持っていないものをゲットした)も加わります。
 ここではさらに「社会的報酬」の背後にある女性の特性について考察してみます。そこから見えるものは「女性の同性への対抗意識」や「嫉妬心」です。つまり、女性がおしゃれをする動機のひとつには「周囲にいる同性と同等あるいは少し上のランクに見られたい」という気持ちがあるわけです。その心理の背景には、同性のライバルの中から異性に選ばれて伴侶となり子孫を残したいという本能的なものもあると思われます。そして、「嫉妬」。じぶんと容姿や地位がそれほど変わらない、いわば同じグループに属している他の同性に負けたくないという意識が働くこともあります。「私と同じような体格で成績も似たようなクラスにいる。顔の造作もそれほど違いはないのに、あの人はおしゃれだというだけで褒めらている!!」というような状況でしょうか。また、心理学的にみるとじぶんのコンプレックスを刺激されることによっても嫉妬が芽生えると考えます。「彼女がモテるのは痩せていてスタイルがいいからだ。私だって痩せれば……」という状況。このときの
コンプレックスを感じる→不快だ→不快を感じない状況にしたい
という心理の流れから
「同性よりもさらに美しくなって認められたら、この不快感が無くなるはず!」
と奮起するパワーすら、生まれるのです。少々、ネガティブなスタートではありますが、嫉妬は上手にコントロールできればじぶん磨きのきっかけになります。必ずしも「彼女に嫉妬するなんて私ってイヤな女!」と否定的になる必要はありません。悔しいと思った相手に対するマイナスの感情にとらわれるのではなく、「じゃあ、私はどうしたら彼女のようになれるのか」を考えてみることが大切。悔しさをバネに前に進めばいいわけです。
 さて、女性が社会的に「じぶんがおしゃれであること」を求めているのは、心理学的にも、脳科学的にも導き出される現象であることはお分かりいただけたと思います。そこで、この章ではおしゃれに見せるノウハウの基本として、色について解説していきたいと思います。色はじぶんに似合う色、じぶんの気持ちを高めてくれる色、パートナーとのコミュニケーションに役立つ色などについてくわしく説明します。色選びひとつでじぶんを若く見せたり、逆に老けてみせることもできるのです。流行は時代によって移り変わりがありますが、似合う色には不変的なセオリーがあります。これら2つのテーマについての知識さえあれば、「気に入って買ったけれどなんだか似合わない」「太って見えると言われた」「老けて見えると言われた」などの残念な服選びを避けることができるはずです。それどころか着痩せをして、美肌に見られる着こなしがカンタンにできる色と人との関係について解説していきます。

●色と脳は仲がいい

 最初に色について簡単に解説しておきます。太陽の光にプリズムを当てると虹のような色の帯を見ることができますね。小学校の理科の授業などで眼にしたことがある方も多いのでは。この色の帯をスペクトルと言い、それぞれの個々の色は波長と言います。このうちの特定の波長の色であれば人は見ることができ、それらの色は可視光線と呼ばれます(人の眼に見えるもの、見えないものをひっくるめたのが電磁波)。
 電磁波の単位はナノメートル(nm)と呼ばれ、可視光線はおよそ380~780ナノメートルの範囲内。たとえば、赤はおよそ620~750ナノメートルであり、波長の違いがそれぞれの色を違う色として脳が認識しているのです。それぞれの色の波長はおおむね以下の通り。

紫=380〜450nm/青=450〜495nm/緑=495〜570nm/
黄色=570〜590nm/オレンジ=590〜620nm/赤=620〜750nm
※資料によって数値は異なります。およその数値を表記しています。

 色の波長は目から視床下部〜下垂体〜松果体に伝わり、大脳の視覚野に到達するといわれています。脳科学では、色の波長によって自律機能を調整するホルモン分泌が行われたりすると考えられています。それぞれの色と関係するアドレナリンについて第5章の「美人になる裏ワザは色のトリック」のところをご参照ください。
 ここで参考までに色が人に影響を与えた具体的な事例として、海外での実験結果をご紹介しておきます。ある工場の休憩室の壁面がブルーに塗られていたときの事例。従業員は始終「寒い」と苦情を言っていたため、壁をオレンジに塗り替えたそうです。すると、以前より低い室温設定の場合でも従業員たちは「暑い」と言うようになったとか。ブルーという色の印象は「涼しげ」で、オレンジは「暖かい」が一般的。つまり視覚で得た色の特性に脳が同調し、体感温度まで変えてしまったということになるわけです。
 ちなみに、この実験結果の裏付けとして、なぜ人が「ブルーは寒い」「オレンジは温かい」と感じるのかを解説しておきます。武蔵野美術大学教授である千々岩英彰氏の著書「人はなぜ色に左右されるのか」(河出書房新社)によると、
 「温かい色・寒い色といった場合は、皮膚の温感感覚と関係があり、色の温度感覚も世界共通のものといっていい。先の調査結果を見ると、世界の国での暖色の一位はオレンジ色で、次いで赤、黄となり、暖色はこの三色でほとんど示されるといっても過言ではない」。
とあります。先の調査結果というのは、千々岩氏が通産省所管の特殊法人である「新エネルギー・産業技術総合開発機構」の委託を受け、1995年から1997年にかけて世界の主要20カ国(23地域)の美術デザイン系大学生5375名を対象に色彩の好みやイメージなどについての調査した結果に基づくデータだそう。
 その調査結果によると寒色については「青、水色、白が上位にきて、その次に濃い青で、銀色もある」とあります。
暖色・寒色と色の関係については「暖色のほうは常識的に考えれば、そうした色から太陽や炎を、一方、青系統や白の寒色は水や氷、雪といったものをイメージするからだろう」と千々岩氏は分析しています。千々岩氏の考察は前述の「工場の壁の色に対する工員の反応」を裏付けるものであり、色と人の感覚との間にはなんらかの関係があると考えることができます。人間の脳と体の機能はじつに複雑であり、神秘的でもあります。色から受けたイメージで体感温度まで変えてしまう不思議。いわゆる「イメージトレーニング」は、人間のこの能力を利用したノウハウになるわけです。イメージングの有効活用によるマインドトレーニングはこれからも掘り下げていきたいテーマのひとつです。

2015年8月5日水曜日

ファッションの3S+S

前述したビジネス用のワードローブ20着を有効に活用するために大切なキーワードは「3S」。それは「整理・整頓・清潔」です。まず、整理ですが、シーズンものでいま着ている服はできれば見えるスペースに並べておくのがベストです。ショップの陳列などを参考にするといいでしょう。20着ほどの服であればハンガーラックひとつに収納は可能。収納のコツは、コート・ジャケット・シャツ・ボトムスのようにアイテム(服の種類)ごとまとめて並べます。順番は、左からシャツなどの軽いトップスそしてスカート、パンツ、ジャケット、ドレス、そして一番右がコートです。それぞれのアイテムは、薄い色から濃い色の順に並べておくとコーディネートを決めるときに便利です。いま自分が持っているワードローブの色や形などが短時間で見渡せるのでコーディネートのイメージづくりがしやすくなります。また、タンスの隅で忘れ去られるアイテムが無くなり、コーディネートの幅も広がります。
 セーターやカットソーなどのトップスをハンガーにかけずにたたんで収納する場合、丸首なのかVネックなのかがわかるように首元を見せてたたみます。こちらも薄い色から濃い色へとグラデーションで並べておく。手持ちのアイテムを毎日見ることで、新たに服を購入する際に似たようなデザイン・色のものを買う失敗も防げます。
 靴やバッグなど小物も見える収納が基本。靴はヒールの高さや形が分かるようにしましょう。最近は靴箱にイラストが印刷されているケースもあるので、その場合はイラストが見えるように箱で収納します。イラストが入っていない場合、文字で特徴を書くか写真を撮って貼付けておくなどの方法もあります。
 不要なアイテムをそのまま置いておかないよう、定期的にクローゼットを見直すことも大切です。衣替えの時期やセールで買物をする前の習慣にするといいでしょう。着なくなった服はもちろん、「いつか必要になるだろう」「いつか痩せたら着よう」など「いつか…」という冠がつく服は、基本的に不要品です。不要品できるだけ早く手放すようにしましょう。物を溜めこんでしまう人は「もったいない」「必要になるかもしれない」「もう手に入らないかもしれない」という心理から物を捨てることに苦痛や不安を感じてしまうのです。そして、溜まった物を捨てられないことや片付けられないことに関してもストレスを感じるという悪循環に陥りやすいのです。住まいがいわゆる「ゴミ屋敷」になるまで異常に物を溜めこみすぎる性癖については、近年一種の精神疾患として認定されるようになりました。これは強迫性疾患で「溜めこみ障害」と呼ばれます。「溜めこみ障害」の人は自覚がないため、治療が難しいとも言われています。「溜めこみ障害」に対処する方法は、物を捨てる不安に慣れることだそうです。はじめは物を捨てることにストレスを感じていてもやがて慣れていきます。物を捨てることに罪悪感を感じるのであれば、リサイクルやネットオークションで処分する、だれか人に譲ってもいいでしょう。物が多すぎない、すっきりとした開放的な住まいがストレスから解放してくれるはずです。
 次に「整頓」ですが前述のルールを守りつつ、ワードローブ20着の保守・点検をしましょう。保守は服が痛まないように保管すること。ジャケットなどは型くずれがしないようにボタンを締めてきちんとハンガーにかける。冬物のウールジャケットなどは着た後にブラシをかけておきましょう。はずれかかったボタンがないか、裾の折り返しのラインがきちんとしているかなどの確認は脱いだときに。着る前は時間がないことが多いので。
 靴も帰宅後、靴用のブラシを掛け、クリーナーで汚れを拭き取ります。そして、履く前にツヤ出しクリームなど栄養のあるクリームをサッと塗っておきます。栄養クリームを塗った靴はすぐに靴箱に片付けるとカビが生えることがあります。必ず、よく乾かすか収納時はクリーなだけにして履く前に塗るかをお勧めします。皮革製品の雨染みや色褪せはクリーニング店や専門店で修理できる場合もあります。雨染み・汚れ対策に購入後、防水スプレーで保護しておくのも有効な方法でしょう。
 「清潔」は、身だしなみの基本です。最近はほとんどの洋服が自宅で洗濯できるので、お手入れも簡単です。洗濯ができないウールのコートやジャケットのほか、着るたびに洗濯をしない大物の場合、着た後はすぐに他の物と一緒に収納しないことです。汗や湿気、ニオイなどが他の服に移ってしまうので、しばらくは通気のいい場所にかけておきましょう。
 衣替えをするとき、クリーニングに出した服の保管ですが、クリーニング店から戻ってきた服をそのまましまうのではなく、必ず袋を取って中身を確認する。変な折りシワがついていないか、汚れがキチンと落とせているかなどを確認します。早期に発見するとクリーニングをやり直してももらえます。気づくのが半年後になるとリカバリーできないこともあります。
 最後のプラスαの「S」は「サスティナブル(sustainable)」です。意味は「持続可能であるさま」、地球環境にやさしい社会発展を目指そうという理念を指すワードです。1987年の「環境と開発に関する世界委員会」の報告書で「持続可能な開発(サスティナブル・デベロップメント)とは、次世代の人々のニーズを損なうことなく、現在のニーズを満たすこと」という文言が使われたことにより、環境に関する用語として広まったそうです。「エコロジー」にはじまり、「ロハス」「オーガニック」など近年、自然との調和・共生というテーマが社会に広く浸透しています。そして、ファッションの世界でも「サスティナブル・ファッション」が市民権を得はじめているのです。「サスティナブル・ファッション」には次のようなポリシーがあります。
・素材の染料は環境や生産労働者の健康を損なっていない。
・動物を殺した素材ではない。
・生産工場の労働者への賃金は適切である。また、工場で幼い子どもたちや移民を劣悪な条件で働かせていない。
・地元のものを使って生産されている。
・製品回収システムなどのリサイクル意識がある。
 海外ではキャサリン・ハムネットやステラ・マッカートニー、ブルーノ・ピータースらがサスティナブル・ファッションを発信しています。ファストファッションのH&Mから、ハイブランドのルイ・ヴィトン、ボッテガ・ヴェネタ、クロエ、ブルガリなど錚々たるブランドもサスティナブルへの取り組みをはじめています。

 サスティナブルな考え方が広まった背景には、近年の気候変動や自然災害の多発、生態系の変化など地球規模でのさまざまな問題があると言われています。水や石油、動物や植物などは有限であると気づいた人々が利便性を追求した現代社会を見直し、再生利用の方向へのシフトチェンジを訴え始めています。そこに新たなビジネスチャンスを見いだした企業もサスティナブル・ディベロップメントに取り組みだしているのです。先人から「もったいない」精神を受け継ぐ私たち日本人は、自然にサスティナブル・ライフへと移行していけるのではないでしょうか。サスティナブルの実践として、この章の「ワードローブ20着」への取り組みを始めてみてください。

2015年7月29日水曜日

「胸育」は女性のたしなみ

おとなの仲間入りを実感するステップのひとつが、ブラジャーを付け始めることです。体格によってブラジャーデビューの年齢はさまざまですが、小学校高学年ごろが一般的。ある研究によると「必要な時期にブラジャーをつけていないと胸(乳頭)が擦れて、痛みや不快感から授業への集中力が低下し、自由に運動する妨げになります。また、胸が目立つことを気にするあまり、姿勢を丸めてしまう子どもがいる」(ワコール「ママのための初ブラ講座」より抜粋)そうです。大手下着メーカーのワコールによると、バストが成長をはじめるのは初経の1年以上前で、初経の前後1年間でバスト全体がふくらみ、バストの下側のラインも横に広がるとか。初経の1年前のバストがふくらみ始めるころからのブラの装着を推奨しているワコールでは、ジュニア用のブラジャーを3タイプ開発。時期に合わせたブラジャー選びの大切さを唱えています。
 最近、マスメディアやブラジャーのカタログなどで目にすることが増えてきたワードに「育乳」があります。意味は文字の通り、「バストを育てること」。美しいバストづくりのための下着や、女性ホルモンの分泌促進のためのサプリメントが注目されています。昼間は「寄せ、上げて形を整える」ブラジャーをつけ、夜はバストの肉が横に流れないような「ナイトブラ」をつけるのが現代の女性の常識になりつつあるようです。
 日本の下着の特徴は、高い機能性。下着選びをきちんとすれば望んだ通りのバストラインが手に入ると言っても過言ではないでしょう。そんなメイド・イン・ジャパンの下着は欧米の女性からすれば、異文化の象徴のようです。もともと欧米では、下着によってバストや体のラインを補正するという考え方はありません。下着は、服を脱いだときのじぶんを美しく見せるためのもの、というのが欧米の概念。フランス製のランジェリーは繊細なレースを使っているのが特徴で、ワイヤー入りなど機能的なものは多くありません。
 ブラジャーの原型なるものが生まれたのはアメリカと言われていますが、アメリカ人女性もブラジャーに対するこだわりはあまりないようです。ここ一番!というシチューションでは谷間を作るブラなどが付けられているようですが、ふだん着のときにはノーブラという人も少なくないという印象です。ただし、アメリカのドラマや映画に出てくる女性たちは機能的なブラジャーらしきものを身につけている場合が多いので、職種や地位・立場などによって下着に対する考え方は変わってくるのかもしれません。そして、ここ数年、日本製の機能的なブラジャーはアメリカだけでなく、広く海外で人気を博しているので、海外の女性たちの考え方も変わってきているのです。
 さて、育乳に話しを戻してもう少し掘り下げてみましょう。ワコールのジュニアブラはノンワイヤーのスポーツブラから始まり、ジュニア用のワイヤー入りブラへ移行していくステップを紹介しています。ジュニア用のワイヤーブラはバスト周辺のリンパ腺を刺激しすぎないよう、大人向けよりもワイヤーの幅が広く調整されています。胸のスムーズな発育を妨げないようにと考えられています。
 ジュニアだけでなく、年齢に合わせたブラジャーの選択はアンチエイジングの面から考えても大切です。バストは加齢によって下垂していきます。筋肉がないバストは乳腺や脂肪とそれを支える結合組織・クーパーじん帯などで構成されています。加齢が進むにつれて乳腺より脂肪の割合が大きくなり、バスト全体が柔らかくなっていきます。また、バストを支えるクーパーじん帯や皮膚そのもののハリ・弾力が衰えることもあり、バストが重力に従って下垂していくのです。下垂はバストだけではなく、ヒップやウエストまわりの脂肪にも起こります。体の変化に合わせつつ、きれいなボディラインをキープしていくうえでエイジングケアのための下着は重要です。ちなみにワコール「人間科学研究所」によると、「加齢によるバストのかたちの変化」には次の3つのことが言えるそうです。
①加齢で変化していく順序は全員同じ。
②20代から下垂は始まっている。
③いったん変化したら元には戻らない。
美しいバストをキープするためには、肌や髪のケアと同じくらいの労力が必要です。
 日本石鹸洗剤工業協会が「朝シャン」について調査したデータがあります。「毎日、朝に髪を洗う」と答えた20代女性は26%だったのに対し、20代男性は32%でした(調査対象:20代の有職男性・20代の有職女性、各100名。2001年調べ)。オリコンが行った自社のモニターによるアンケート結果では、「朝・夜2回入浴する」と答えた男性が12.8%だったそうです(調査対象:中・高校生〜40代男性500人、2007年調べ)。同じ調査で女性は6.0%だったことを考えると、最近の男性がいかに身だしなみに気をつけているかがうかがえます。入浴の際に下着をはきかえることが一般的だとすれば1日2回下着を変えている男性は意外に多そうです。
 私の持論としても、下着は1日2回着替えることを推奨します。たとえ、朝シャンしなくともナイトウエアから着替えるときには、日中のファッションに合った下着をセレクトするべきです。「透けて見えない色であるか」「下着のラインが見えていないかどうか」は基本。胸元のVゾーンが深い場合はそれに配慮したブラジャーを選ぶ。フィットネスジムに行く予定がある場合は、リンパ腺に影響がないノンワイヤーのブラやスポーツブラがお勧めです。
 服に合わせてブラジャーを選ぶ女性は多いのですがノーチェックなのがパンティやショーツ。とくに後ろ姿をおざなりにしている女性が少なくないと感じます。ところが、胸元のラインよりも他人から視されやすいのが、ヒップライン。人は対面したとき、視線の行方が相手から悟られやすいため、胸元を凝視することを避けがちです。その点、ヒップラインは見つめても相手からは悟られないため、視線が留まりやすくなります。くっきりとショーツラインが浮き出る着こなしをしていたら、相手に「身だしなみに気をつけない人だ」という印象を与えかねません。最近はビジネスシーンでパンツスーツを選ぶ女性が増えているので、ぜひ、ショーツラインのチェックは怠らないようにして欲しいものです。
 ビジネススーツで言えば、ジャケットとスカートのスーツを選択する際、足元に合わせるのは革靴になります。その際のストッキング選びも重要です。いまは素肌以上に肌を美しく見せるストッキングが豊富になりました。美しい足元は女性にとって強い武器になるので演出に工夫を凝らして損はありません。最近の若い女性はとてもメイクが上手になっているのですが、インナー選びはまだまだ発展途上のように見えます。下着もお化粧と同じです。きちんとしたインナーを身につけることは大人のたしなみなのです。
 夜、帰宅した際は、体を補正する機能性下着からリラックスできるタイプのものに変えるほうが身体にも、精神にもいいでしょう。最近では各メーカーが夜用の下着を開発・販売しているので入手も難しくありません。

2015年7月22日水曜日

クローゼットには10アイテム、20着あればいい!

昨今のブームが定着した感がある「断・捨・離」。
パソコンでも一発変換で出ますね。片づけられない人も社会現象のひとつとしてテレビなどでもよく取りあげられています。そもそも「断・捨・離」はヨガの「断行(だんぎょう)・捨行(しゃぎょう)・離行(りぎょう)」という3つの行法を応用した考え方です。それぞれに「断=入ってくる不要な物事や欲望、習慣を断つ」「捨=不要な物(地位)を捨てる」「離=物事への執着・こだわりから離れる」という意味があるようです。
 余談ですが、イギリスの生活評論家であるカレン・キングストン氏は独自の調査から「太り過ぎの人は物を捨てられないタイプの人が多い」という結果を発表したという記事を目にしました。氏いわく「物であふれた生活をしていると、じぶんの体内にも不要な脂肪を溜めこみがちになる」そうです。物をたくさん所有している人は、それだけいろいろな執着心にとらわれていることが多い。物だけでなく食に対する執着心も強くなりがちということでしょう。
 さて、ここでじぶんのクローゼットの中身を思い出していただきたい。いったい、何着の服がありますか? たとえ大量の服が詰め込まれていても枚数を答えられるのであればいいです。何着か分からない・考えても答えられないという人は要注意です。おそらく、不要な服を捨てずにクローゼットに詰めこんだままにしているはずです。心理学で「拡張自我」という言葉があります。「人が持っている物、身につけている服、地位すべてがじぶんであるという概念」のこと。女性がブランド物のバッグやアクセサリーを身につけたり、男性が高級車に乗ったり、ハイブランドの時計を身につけて「ワンランク上のじぶんになった」とじぶんに自信が持てるようになるのは、「拡張自我」のなせる技というわけです。ナポレオンの名言「人はまとった制服のしもべとなる」です。
 大量の服が詰めこまれたクローゼットの何が問題かと言うと、そこにある服の多くが持ち主にとって大きな価値を持っていないはずだから。「安かったから」「流行だったから」「なんとなく捨てられないから」などの理由でとりあえず置いてある服ばかりではないでしょうか。思い入れのない服はそれを着た人間に自信や魅力を与える可能性も低くなります。着てもマイナスにしかならない服にクローゼットを占拠させていてもいいことは何もありません。物が多いと思考が散漫になりがちで注意力が低下する、片づけられない自分を責めてしまう、片づけるときのことを想像しただけでストレスになる……など、精神衛生的にもマイナス面のほうが多いのです。

 そこでクローゼットの中身をよく吟味して量から質へ、こだわりをシフトしてみます。次に私が推奨する「オフィシャルシーンでの20着」の一例を上げています。基本はジャケット+スカートもしくはパンツスタイル。さまざまなシーンで対応できるカーディガンやワンピース(ドレス)などもプラスしています。

2015年7月15日水曜日

ドレスコードでおとなの仲間入

前述の尾崎商事が行った調査で、中高生の制服の着崩しを大人たち(全国の20才以上の男女846人を対象)はどう感じているのかを同じく2010年にインターネットで調査したところ、「かっこ悪い」「どちらかというとかっこ悪い」の合計が20代は85.2%、30代は89.5%、40代は89.5%でした。集団の内と外とでは、ひとつの服装に関する価値観が真逆になることもあるわけです。この事実をしっかりと子どもたちに伝えておかないと社会に出たときのデメリットポイントになってしまいます。

 衣服にはさまざまな種類があり、生活行動によって着るものが変化します。行動と衣料の関係を図にすると次のようになります。

ある場所に参加する場合に定められた服装をすることを「ドレスコード」と言います。結婚式をはじめとする冠婚葬祭などのフォーマルな場面や格式あるホテルのレストランやメインバー、豪華客のクルーズ旅行、会社や組織などの公式行事などで使われます。ひとくちにドレスコードといっても種類があります。たとえば、豪華客船などでは、その日のディナーのためのドレスコードの指定があり、船内新聞などで告知されるそうです。カクテルドレスを着た人の隣にカジュアルなワンピースを着た人が座るということもないわけですね。ちなみに、最低限のマナーとして知っておきたいことして、デニム(ジーパン)はドレスコードがあるようなオフィシャルな場では着用できません。デニムとはもともとワークスタイル、つまり作業着。いまはハイブランドもおしゃれなデニムファッションを発信していますが、あくまで遊び着として認識しておきましょう。結婚式などは「平服でお越しください」と招待状にあってもデニムは論外。プレゼンテーションや商談の場面でもデニムは良くありません。
 「平服でお越しください」という文言についてもう少し解説すると、平服とは略礼装を指すのが一般的。女性であれば昼の席の場合、おしゃれなワンピースやスーツ、セットアップ。夜の席であればサテン生地など華やかな素材のワンピースやスーツということです。足元はパンストにヒールのあるパンプスが基本。平服=普段着ではないことだけは忘れないでください。
 冠婚葬祭のなかでも、とりわけ気をつけたいのがお通夜のドレスコード。お通夜とは訃報を聞いた近親者が取り急ぎかけつける儀式なので、学校や仕事の帰りの服装でもいいと考えがちですが、マナーとしては基本、黒の着用が望ましい。黒以外としても濃いグレーや濃紺までが許容範囲でしょう。そして、付け加えたい要素が「上質な素材の服」であること。また、葬祭用の黒は、ふだん着用する黒よりも深みのある黒となります。学生さんの持っているリクルートスーツと喪服を比べてみると色の違う場合があります。リクルートスーツには黒が少し浅いものがあります。葬祭用のフォーマルウエアはあまり流行に左右されず長く使えるのでじぶんへの投資として1着用意しておくといいでしょう。

[一般的なドレスコード]女性編
■正装・フォーマル
昼はアフタヌーンドレス、夜はイブニングドレス
■準礼装・セミフォーマル
ロングドレス、カクテルドレス、ワンピーススーツ、スカートスーツ
■略礼装・インフォーマル
ワンピース、ツーピース、スカートスーツ


2015年7月8日水曜日

第6章 着る勉強をしてきましたか。

「三つ子の魂」が成長のカギ

 私たちの被服に対する意識の芽生えは、いつからなのでしょうか。それは、脳の発育と関係しているように思えます。一般的に、人間の脳の60〜70%は3才ごろには完成していると言われます。そして9才ごろに脳の発育はほぼ終了します。つまり、3才児ともなると、おとなが思っているより遥かにいろいろなことを考える能力が備わっているということです。2才〜3才時の子どもの通過儀礼と言えば、いわゆる「イヤイヤ期」。心理学的には「第一次反抗期」とも呼ぶ「自我の芽生えの現れ」も、脳の発達のなせる技です。自我が芽生えることによって自己主張をはじめる訳です。ドイツの心理学者であるH・ヘッツアーによる調査があります。幼児期にはっきりした反抗期を示した子どもの多くは青年になったとき意志の強さが正常に機能し、一方、反抗期が明確になかった子どもの多くはその後も大人に依存しがちという傾向が見られたとヘッツアーは報告しています。
 イヤイヤ期の子どもにありがちな行動のひとつに「親が選んだ服を着てくれない」があります。親から見ると「天候に合っていない」「トップスとボトムスの組合せが変」など、一見、不都合な服を選び、頑として他の服を着ないというものです。ファッション・コミュニケーションの視点からすると、これはおしゃれに対するアイデンティティーを育てるうえで、とても重要なプロセスになり得る現象です。じぶんが選んだ服を着たときの高揚感や達成感、幼稚園などでの他者からの嘲笑などのさまざまな経験を得ることで服に対する価値観も育てられるのです。
 多くの人が「イヤイヤ期」でおしゃれの勉強をスタートさせるとしたら、その後はどういう経過を辿っていくのかとういことです。
 成長していくうえで、それぞれの年代を象徴するファッションというものがあります。多くの幼稚園では制服があり、小学校でも制服着用が義務づけられる場合があります。制服がない小学生にはランドセルというマストアイテムが存在します。そして、中学・高校と進学していくのですが、このときもほとんどの学生が制服を着用することになります。じぶんは集団の中のひとりだという自覚が芽生えるのは、何より、この制服の着用が大きな役割を担っているのです。
 「ペルソナ」という心理学用語があります。「ペルソナ=仮面」で、カンタンに言うと「外面(そとづら)」のことです。人々は、家族に見せる自由奔放なじぶんをそのまま学校のクラスメイトや先生、会社であれば同僚や上司に見せることはほとんどありません。学生らしく、または社会人らしく振る舞っているはずです。心理学者・ユングによると、人がペルソナを被る理由には大きく2つの意味があるそうです。ひとつは素のじぶんを守るため。もうひとつは社会生活における対人関係をスムーズにするため。そのときに属している社会や集団におけるじぶん自身の役割を明確にするためには制服というツールはかなり有効です。役割が明視化されるばかりでなく、着用した本人も制服というペルソナのおかげで与えられた役割が明瞭になるのです。
 思春期の自我の芽生えとしての「第二次反抗期」は小学校5年生ごろからとされています。この頃から、親やおとなのいうことに逆らうという子どもの行動が目立ち始めるのですが中学生になると制服を改ざんしたり、校則に反して髪を染めたりするという反社会的行動に出る子どもも現れます。これは子どもなりの、じぶんのアイデンティティーを模索している葛藤の証であるわけです。この時代の制服には、社会に適応していく感性を育成するだけでなく、人によっては自己を確立していくためのキーアイテムにもなりうるのです。
 また、いわゆるヤンキーファッションではなく、校則の枠のなかで制服に少し手を加えてじぶんなりに着こなすことに楽しさを見いだすことがファッションへの興味を育てる場合もあります。
 学生服の大手企業・尾崎商事が2010年に行った「制服の着崩し実態調査」があります。全国の制服のある学校に通う中高生400人を対象にインターネットで実施した調査によると、じぶん自身の制服の着崩しについて「いつも着崩している」「たまに着崩している」を合わせると高校生41.5%、中学生17.0%だったそうです。着崩しをする理由のトップは「着崩さないとダサイから」が高校生34.9%、中学生41.2%。2位は「着崩しをするとおしゃれに見えるから」で高校生30.1%、中学生29.4%でした。子どもたちにとって「おしゃれであること」は自己のアイデンティティーにとって大きな意味を持っていることがうかがえます。

 また、「着崩さないと真面目に思われるから」が高校生6.0%、中学生17.6%、「自分だけ着崩さないと仲間外れにされそうだから」が高校生3.6%、中学生5.9%という結果も。一部の子どもたちとって、服装は集団生活において他者との距離感を計る重要なツールにもなっていることが分かります。「着崩さないと真面目に思われるから」という理由は、「真面目過ぎない、話しが分かるじぶん」というペルソナを被るために制服を着崩しているとも言えます。